日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

    2025.11.21
    新・山の上からこんにちはvol.638

    奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

     

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    今朝の天気は晴れ、気温は5℃。(8:00時点)※下記の情報は11月19日(水)時点のものです。

    取材をした19日(水)から一気に冬らしくなってきて、朝早い時間帯の気温は連日氷点下になっています。

     

    葉のほとんどが落ちて枯れ景色になってからは交通量も明らかに減り、今回歩いた赤沼から戦場ヶ原の展望台までの区間でも人とすれ違う機会はわずかでした。今回はそんな季節だからこその魅力にいくつか気づくことが出来ました。

    取材前日から雪が舞うような天気が続いていたので、土道では若干雪をかぶった個所もありましたが、木道上には一切積雪はありませんでした。

    木道を湯川沿いにしばらく歩いて行くと、対岸に広いミズナラの森が見えてきます。

    落葉したおかげで遠くまで見渡せるようになった森は、隙間から透けて見える青空が背景となり、緑色のササが茂る下の方まで陽の光が届くようになった事も相まって、明るくすっきりとした景色になっていました。

     

    また、静かな初冬の森では、空から「ちゅりん、ちゅりん」というか細い声が聞こえてきます。落葉した森の中で聞こえてくるこの声は、私にとって冬の到来を感じさせてくれるとっておきな存在です。

     

    その正体は…マヒワという13cm程の小さな鳥です。(今回は撮影できませんでした)

    秋にシベリア方面から渡ってくる冬鳥ですが、エサ等の事情で渡ってくる数は年によって多少変動します。昨年の冬は渡って来た数が特に少なく、奥日光でマヒワの声を聞く事がほとんどありませんでした。なので今回は2年ぶりにマヒワの声から季節を感じる事が出来て嬉しい冬の訪れとなりました。

     

    赤沼から40分ほどの展望台から景色を眺めると、小雪が舞う中、意外にも湿原内は枯れ草色ではなく、陽の光を浴びて黄金色に近い色で輝いていました。

    湿原の背後にそびえる日光連山はうっすらと雪化粧して、晩秋の最後の輝きを見せる戦場ヶ原とそれを飲み込もうとする冬とのせめぎあいを見ている様な、なんとも美しい景色でした。

     

    自然は常に私たちに変化を見せてくれているので、「この季節のこれを見に行く」と、初めから決めずに、その時々の一番の美しさを自分で探すことで、本当に綺麗な瞬間に出会うことが出来ますよ。(鈴)