日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2025.12.05
新・山の上からこんにちはvol.640

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

 

今朝の天気は曇、気温は-1℃。(8:00時点)

※下記の情報は12月2日(火)時点のものです。

 

最近の奥日光は、朝晩の気温が氷点下になる日が増えてきました。日中も強い風が吹いている日が多いので、お越しになる際は、十分な防寒対策を忘れないようお願いいたします。

※12月3日~4日にかけて降雪があり、博物館周辺でも多いところでは20㎝近く積もりました。歩道は雪が多く残っている場所が多く、路面は除雪がされていますが、凍結している場所もあるのでお越しになる際は、スタットレスタイヤ等の準備も必要です。

 

今回は、華厳滝の近くにある日光自然博物館から中禅寺湖畔ボートハウスまで歩いてきました。

※赤線が今回歩いたコースです。

 

このコースは男体山と中禅寺湖を挟み込むようにコースが続いているので、街から近い場所でも自然度が高く、綺麗な景観や動植物を十分に楽しむことが出来ます。

また、コースは平坦でかつ、整備されており、途中には東屋やベンチもあるのでゆったりと自然観察を楽しむことが出来るのもポイントです。

※ゴールの中禅寺湖畔ボートハウスは冬季休館中です。ご了承ください。

取材日もコース上には動物の痕跡があちこちあり、湖や森の中でも多くの野鳥を堪能することが出来ました。

生き物達を堪能しつつ進んでいるとコース上に沢山設置されているある物に生き物が沢山集まっていることに気が付きました。

 

と言うのが木製の柵や看板です。

実はこの柵や看板は昆虫やクモ等小さな生き物達が集まるとっておきの観察ポイントなんです。

取材日もカメムシやゾウムシ、クモ等多くの生き物を見ることができ、楽しめました。

今回は、その中でも少し変わった2種類の昆虫を紹介していきます。

 

まず1種目はフユシャクと言う蛾の仲間の雌です。

※写真の個体は別日に撮影

名前の通り、冬場や春先の寒い時期に出現し、よく柵や看板に付いている物を見かけます。

蛾の多くは体に4枚の翅を持ちますが、フユシャクの雌は翅が退化しているので、モフモフの毛玉のような見た目をしています。

 

ただ、種類によって異なり、蝶ネクタイのような小さな翅がある種類や写真の個体のように全身白黒の斑模様でホルスタインのような派手な見た目の種類など個性的な仲間が沢山います。

ちなみにオスは上の写真のようにしっかりとした翅があります。昼間の林の中や夜に外灯の周りをヒラヒラと飛んでいる姿を見ることが出来るので、探して見てください。

見た目の可愛らしさと小さくて見つけづらいので、出会えるとつい喜んでしまいます。

 

続いて2種類目は歩くゴミの塊です。

それがこちら

大きさは5㎜くらい。白く丸い埃の塊のような形状です。

じっくり観察していると時折埃のような物の下から小さな大あごがチラッと覗かせていました。

正体を確かめるべく、少し失礼して裏側を見させてもらいました。すると裏側には細長い幼虫が姿を現しました。

正体はクサカゲロウと言うウスバカゲロウの仲間の幼虫でした。

クサカゲロウの仲間は、自分の脱皮殻や自分が食べた食べカスを背負う習性があります。

背中には長い毛のような物も生えていて、これでゴミを引っかけやすくしているようです。自分の体を覆うくらいの大きさだったため、遠目からだとゴミが一人でに歩いているように見えたみたいです。

なぜ、体にゴミを背負っているのか?

実はゴミを背負うことで、天敵から逃れるためのカモフラージュの効果があると言われています。ジッとしていると柵にゴミが付いているようにしか見えず、その擬態の能力には脱帽です。

 

今回紹介できたのは2種類だけですが、コース上にありふれた看板や柵には、よくよく見てみると小さくて不思議な生き物達が沢山暮らしています。

同じコースでも普段と違った所に目線を向けてみると新しい出会いや発見があるかもしれません。

綺麗な景色や可愛らしい野鳥だけでなく、色々な場所に目を向けて自然観察を楽しんでみてください。(しゅんか)