日光自然博物館

BLOG 戦場ヶ原からこんにちは

2018.11.11
【ちょっと番外編ブログ】解説員の日々

自然情報だけじゃない、ちょっとお仕事のお話。(すみません、けっこう長くなりました)

 

日光自然博物館には「自然解説員(インタープリター)」という職種のスタッフがおります。

その仕事は「インタープリテーション(「解説する」と言っています)」、簡単に訳すと「通訳、翻訳」という意味の言葉で表されます。
生きものたちの言葉なき声を聞き取り、様々な手法を用いて皆さんに伝えるという、ヒトと自然の仲介をするお仕事です。

 

日光自然博物館では、個人の方から学校や公民館などの団体様まで、様々な方を対象に、自然について解説するネイチャーガイドや、四季折々の自然体験イベントを実施しています。

それを通じて、奥日光へいらっしゃった皆様と、奥日光をはじめとした自然との間の「架け橋」となれるよう、日々精進しているのです。

 

この精進の方法もいくつかあります。自然情報を収集しにフィールドへ繰り出す(当ブログの9割を占めているもの。これが業務で一番楽しい!という解説員がやはり多いです)のも業務のうちですが、時にはかっちり研修を組んで切磋琢磨し合っています。

そんな日常をチラ見せ。

 

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久々に一日中ぽかぽかの好天に恵まれた昨日、この精進の一環として、解説員のガイド研修を行なってきました。

 

 

1人がガイド役、その他の解説員はお客様役として、戦場ヶ原を通過するメジャーコースでのロールプレイングをしました。

 

ネイチャーガイドでは、コースタイム(ただ歩くのにかかる時間)の1.5~2倍の時間をかけて、五感をフル活用する自然体験をたくさん盛り込んだ活動を行なっています。

 

 

時には、よく木道にも堂々と落ちているアレ……動物のフンに注目してみることも。

なぜ道のど真ん中に落ちているの? という些細な疑問も、動物たちの生態を考えてもらうきっかけになります。

 

 

フンは突き崩して内容物を見るのが、実は面白い。定番の活動です。

中からは、木の実の種、虫の残骸、ネズミやモグラの仲間とおぼしき毛がわんさか。食う-食われるの関係式や、フンの主(今回はおそらくテン)の食生活なども見えてきます。

 

また、博物館のガイドで特徴的なのが、「味覚」を使ってみてもらうこと。
ガイドするコースは特別保護地区に指定されている場所がほとんどのため、辺りのものをちぎって・拾って食べる、ということはできません。そのため、携行していた、奥日光の林内でも見られる樹木の皮を使います。

 

ニホンジカも食べる樹皮、そのお味は?

表情から察してください……

 

これはただの嫌がらせではありませんよ!

「不味い!」から、野生動物たちの日々の食糧は決して美味しいものだけではないことを実感してもらいたい、という趣旨も含んだ体験なんです。

 

こうやって、互いの手技を盗みあい、指摘しあい、切磋琢磨していくのです。

 

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それぞれの解説員が、それぞれに伝えたい思いを持っています。

「奥日光の自然は四季それぞれに素敵な姿を持っている。また遊びに来てほしい」

「自然の中で遊ぶ楽しさを知ってほしい」

「生きものに少しでも興味を持つきっかけになれたら」

などなど。

どうやったら伝わるだろう、楽しんでもらえるだろうと頭を悩ませ、日々の解説業務にあたっています。

 

私たちがご案内した皆さんに、そんな解説員たちの思いが伝われば嬉しいです。(山)